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       サマール島、巨大鍾乳洞へ







旅行の目的

セブからは北東に位置するサマール島。その南部に位置するフィリピンでは最大、世界でもその規模は5本の指に入ると言われているカリビガケーブを目指して12日でトレッキングをするのが目的だ。

 

準備

ガイドを二人雇った。一人は鍾乳洞の案内人。鍾乳洞を管理する公務員のようだ。翌日の朝までP500で雇った。カリビガの村から密林を越え鍾乳洞のまでの道を案内してくれる。ジャングルで一泊する予定なので、水、カップラーメン、クッキー、缶詰、米などの食料をP400渡してそろえてもらうことにした。もう一人は木こり。森で働くことが多かったようで、この地域のジャングルに生息している野鳥に詳しいらしい。手には大きな鉈と鍋を持って参加。翌日までP300でついて来てくれる。

 

鍾乳洞まで

3人でジャングルにはいる。最初の風景は山間にある現地人の畑の風景が続くが、だんだんと森が深くなっていく。心配していた野鳥のガイド(木こり)だったがアフリカの狩猟民族を想像させる視力(双眼鏡などなし)で次々と野鳥を発見する。カワセミ、ヒヨドリ、モリツバメ、タイヨウチョウ、ハトなどの仲間。次々と発見する。がすべて現地語名(ワライ語)なので会話ではいまいちよくわからない。そのため、鳥を見つけるたびに図鑑を広げて教えてもらう。山をいくつか越えること2時間、ついに巨大鍾乳洞カリビガケーブが一望できる展望台に到着する。鍾乳洞は山々の合間のすり鉢の底にある。

 

昼ごはんをジャングルの中で

展望台付近で昼になった。昼ごはんを作りだす。ガイドたちに任せているので何を始めるか見ることにする。木こりの鍋を使って米を炊く。それから近くにある大きな葉をつけている木から葉をとって皿の代わりに使う。白米とツナの缶詰。簡単な食事だが3時間も山を登り続けたのでうまい。

 

カリビガケーブの入り口へ

展望台から下って鍾乳洞の入り口を目指す。昼間になると鳥たちは静かだ。ヒヨドリの仲間(Philippine Bulbul)しか鳴き声は聞こえてこない。朝方のトロピカルな鳥たちの大合唱とは大きく違う。1時間歩いて鍾乳洞に到着する。入り口はそんなに大きくはないが、全長7キロ、12のチャンバーが奥には広がっているらしい。話によると中はあまり整備されていないらしく、観光客もあまり来ていないようだ。奥深く入っていくためには装備が必要なので、入り口だけを見学することにした。

 

夜の鳥たち

展望台に戻る。山々を一望できるので展望台で一晩明かすことにする。ガイドたちは夜間の雨に備えてバナナの葉を持ってきて小さなバナナの葉っぱの小屋を作ってくれた。夕方になり、日が暮れてきた。そのとき近くの鍾乳洞らしい小さな穴から大量のコウモリが飛び出してきた。黒い塊が空へ飛び出してくテレビでもみているような光景だ。コウモリたちが風を切る音がものすごい。コウモリたちが出てきたとたん、ハヤブサ(Oriental Hobby)の一家がそのコウモリを狙って空中で追いかけている。これだけコウモリがいれば餌にはこまらないことだろう。ハヤブサを観察していたらあっという間に日が暮れた。しかし満月のために明るい。日が暮れたころからンギャ、ンギャ、ンギャーという鳴き声が聞こえてきた。ガイドはこれをメンフクロウ(Grass Owl)だという。他にもキョッキョッキョッキョッとヨタカ(Philippine Nightjar)が鳴いている。

 

翌朝

夜明け前に起床。展望台から大型の野鳥を狙う。夜明けとともにあちらこちらで野鳥たちが囀っている。しかし耳慣れた鳥の鳴き声もある。「コケコッコー」。それもジャングル一帯から聞こえてくる。鶏の御先祖様、セキショクヤケイ(Red Junglefowl)だ。姿形・鳴き声はまさに鶏だが、南・東南アジアに分布する立派な野鳥だ。現地でワイルドチキンという愛称で呼ばれていて、メンフクロウはこのセキショクヤケイを夜間狙うそうだ。

 

キツツキのドラミング(木をキツツキがたたく行動)も聞こえる。ガイドはキタタキ(White-Bellied Woodpecker)だという。大型の黒いキツツキ。日本ではすでに絶滅した種類だ。

 

奥の尾根の目を向けてみる大木の間を大きめの鳥が行き来している。サイチョウ(Rufous Hornbill)だ。このサイチョウの仲間はアジア、アフリカの熱帯地域に分布し、大型の鳥類で嘴が大きいのが特徴。地域的な固有種が多くフィリピンに生息する5種類すべてがフィリピン特産種だ。

 

7時くらいには下山して、帰路につかなければならなかったが、観察できた種類は30にも達し、サマール島の今なお現存している豊かな熱帯の森林を感じることができた。




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